共栄ニュース 2022年6月号 「点呼の規定」

2022/06/01

共栄ニュース 2022年 6月号(Vol.268):ダウンロード

運送事業者には乗務開始前及び乗務終了後に「点呼」が義務付けられています。さらに平成30年
6月以降においては国土交通省の省令により点呼時の確認、記録事項に「睡眠不足の状況」が追加
されました。
点呼は、運行管理者が乗務員に対し、乗務開始前に本人の健康状態や車両の日常点検等の報告を
求めると同時にアルコール検知器による酒気帯びの有無をチェックし、安全確保に必要な指示を行
うことを目的にしています。さらに乗務終了後においても、乗務した運行状況を確認するとともに、
再度酒気帯びの有無を確認することが義務付けられています。点呼についてはその内容や違反の際
の処分等について、就業規則等に規定することが必要
ですが、多くの運送事業者においてはこれら
の内容が規定されておらず、不十分な例が多く見受けられます。
アルコール検知器は、飲酒直後や前日の飲酒が影響して数値が検出されますが、検知器の種類や
整備状況によって誤反応の可能性も考えられますので再検査の規定も定める必要があります。重大
事故の原因となる飲酒運転は運送事業者にとって最重要指導項目ですので、就業規則により具体的
に制度化する必要があります。
点呼に関する規定を定める場合は下記記載が例となります。

規定見本


(乗務開始前の点呼)
第〇条 乗務員は、乗務を行うときは運行管理者が行う点呼を受け、日常点検の実施結果を報告
    するとともに、疾病、疲労、飲酒、睡眠不足その他の理由により安全な運転をすること
    ができないおそれがあるときはその旨申し出をしなければならない。
 2  運行管理者の点呼の際には必ずアルコール検知器を用いて、酒気帯びの有無の検査を行わなければならない。
 3  乗務員は、乗務を行うときは運行管理者の行う点呼のほか、掲示箇所による指示事項を確認しなければならない。
(乗務終了後の点呼)
第〇条 乗務員は、乗務を終了したときは運行管理者が行う点呼を受け、当該車両、走行道路及
    び運行状況について報告しなければならない。なお、乗務を交替するときは、交替する乗
    務員にもそのことについて通告することとする。
 2  運行管理者の点呼の際には必ずアルコール検知器を用いて、酒気帯びの有無の検査を行わなければならない。
(点呼時のアルコール検知器による呼気検査)
第〇条 呼気検査で反応が出た場合、再度うがいをし、〇分以上経過後に再度検査をおこなうこと。
 2  前項の再検査においても反応が出た場合には、就業規則〇条の規定に基づき懲戒処分を
    行う。この場合、当日の乗務は行わず、運行管理者の指示に従うものとする。
 3  呼気検査による反応が出た場合における勤務不能の時間及び日の賃金は支給しない。