共栄ニュース2020年 2月号「運送会社の生産性向上」

2020/02/03

共栄ニュース 2020年 03月号(Vol.240)ダウンロード

 大手食品メーカーの物流センター内で、請負業務を行っているX社の最大の悩みは在庫の差異問
題です。毎半期ごとに実棚卸を行いますが、その都度、帳簿上の理論在庫との差異が発生し、それ
に対する損失負担額が、毎年数百万に上っています。
 X社はこのような現状を打破するためにプロジェクトチームを編成し、棚卸差異の影響と現状に
ついて分析を行いました。
 棚卸差異によるマイナス面での影響としては、経済的な損失とは別に、ユーザーへの信頼感の喪
失が挙げられます。コンピューター上では、受注数量の全てが「在庫あり」となっており、出荷指図
をしたところ、実際には商品の一部が欠品となっており出荷ができない状況が発生したり、逆に実
際には在庫があるにも拘らず、コンピューター上では在庫なしとなっている場合があり、売れ損じ
をもたらす場合があります。
 センター内での入出荷業務を請負い、元請け企業からの報酬は、入出庫金額に応じた料率制を採
用しているX社にとっては棚卸差異の発生は、大きな経営課題と言えます。
 一般的に在庫差異分析手法として使用されるKPI(重要となる管理指標)は次の何れかになります。


◆在庫差異分析手法の指標

  ①在庫金額差異率(%)
    (在庫差異金額/実棚卸金額)×100

  ②在庫差異点数率(%)
    (在庫差異点数/実在庫点数)×100


 在庫差異の算出に際して、実棚卸自体の集計についても注意が必要となります。
同一アイテムでありながら保管が分散しているために集計を間違う場合や、ケース数×ケース内容
量の計算ミス等が考えられます。
取扱い商品の品目数の多いX社は、表②の在庫差異点数の分析を行ったところ、同社の某事業所の
成績は
1.37%でした。
          ①在庫差異点数    112品目

          ②実在庫点数    8200品目

          在庫差異点数    112/8200×100=1.37%
 X社の物流管理担当者の話では、上記の数字は「落第レベル」との話でした。
 目標は「0」、少なくとも0.1%未満でなければ、経営上の負担になるばかりでなく、顧客の信頼
をることもできないということです
 因みに、在庫金額差異率についても概算で試算したところ2%を上回り、今後の重点課題として
0.5%未満を目指し取り組んでいくとのことでした。

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