共栄ニュース 2022年4月号 「高年齢者の雇用状況<70歳までの高年齢者就業確保措置の実施状況>」

2022/04/01

共栄ニュース 2022年 4月号(Vol.266):ダウンロード

◆70歳までの高年齢者就業確保措置


・改正高年齢者雇用安定法(2021年4月施行)により、定年を70歳に延長するなどの「就業確保措
置」が努力義務として定められています。

・経団連が行った調査によると、70歳までの高年齢者就業確保措置について対応済みと回答した
企業は21.5%だったそうです。具体的には回答が多い順に、「検討する予定」38.6%、「対応を検
討中」29.5%、「対応済み(決定済みを含む)」21.5%、「検討していない(予定なしを含む)」が10.4%
となっています。

◆中小企業でも早めの対策を


70歳までの高年齢者就業確保措置は、現時点では努力義務であるため、上記のアンケートでもま
だ検討予定の企業が多いですが、いずれ義務化されると思われます。中小企業では、自社に直接
的に労働力として貢献してもらうなど、大企業とは違った対応が必要とされると思われますので、
対応の検討は早いほうがよいでしょう。コロナ禍でも、運送業などでは人手不足感が強いようで
すので、業種によっては高齢労働者の活用はより切実な問題となっています。

◆マルチジョブホルダー制度


・高齢者の働き方に関連して、65歳以上の労働者に関する新しい制度(マルチジョブホルダー制
度)が、1月から始まっています。複数の事業所で勤務する65歳以上の労働者が、そのうち2つの
事業所での勤務を合計して所定の要件を満たす場合に、労働者本人がハローワークへの申出を行
った日から特例的に雇用保険の被保険者となることができる制度です。
・元々、トラック運送業界は、人手不足の影響もあり他産業に比べ高齢化の進展が顕著となって
います。2020年の総務省「労働力調査」によりますと全就業者に占める45歳以上の割合が全産業平
均では45%ですが、トラック運送業界では56%となっています。
・また人手不足感においては、「不足」「やや不足」が全体の64%を占めています。その原因として
は「長時間労働」「低賃金」にあります。年間の労働時間では全産業の平均が2,076時間ですがトラ
ック運送業界は2,460時間、それに対し年収は全産業平均が501万円、トラック運送業界は433万
円となっています。一般的に就業機会の少ない高齢者にとっては、トラック運送業界は比較的障
壁の低い分野と言えます。事業者においても適正な労働環境に配慮しつつ今後とも活用の余地が
十分にあると言えます。

◆改正個人情報保護法(2022.4施行)で個人情報漏洩等が発生した場合の報告が義務化


令和4年4月施行の改正個人情報保護法では、実際に被害が発生していなくても、個人情報漏洩等
が発生した場合の個人情報保護委員会への報告が義務化されます。
万が一に備えるため、個人情
報保護委員会では漏洩等報告の手順の整備を呼びかけています。

◆安全管理のために講じた措置の公表等も義務化


どのような安全管理措置が講じられているか、本人が把握できるようにする観点から、安全管理措
置の公表等が原則義務化されるほか、本人の開示請求の要件が緩和されます。
保有個人データ
を棚卸しし、開示請求に備えておく必要があります。
さらに、外国にある第三者に個人データを提供する場合の情報提供等も改正されますので、外国
にある第三者に個人データを提供する場合の情報提供等も改正されますので、自社の対策に漏れ
がないか、確認してください。