共栄ニュース 7月号「2024年問題政府目標の骨子」

2023/07/01

共栄ニュース 2023年 7月号(Vol.281):ダウンロード

2024年4月以降、トラックドライバーの年間の拘束時間は原則3300時間、時間外労働の上限時間は
間960時間
となります。重量ベースでは国内物流の90%以上をトラックが担っており、このままの状況
では2024年度には輸送能力の14.3%、30年度には34.1%が不足すると試算されています。

6月2日に行われた関係閣僚会議で今後の対策がまとめられました。その内容は、【(1)商慣行の見
直し(2)物流の効率化(3)荷主・消費者の行動変容】について、抜本的・総合的な対策を行うこ
とで荷主企業、物流事業者、一般消費者の3者が協力して物流を支える環境を整備することを目指すこ
ととしています。

政府の政策パッケージの骨子
(1)商慣行の見直し

① 荷主・物流事業者間における物流負荷の軽減
② 納品期限、物流コスト込み取引価格等の見直し
③ 物流産業における多重下請構造の是正
④ トラックGメン(仮称)の設置等
⑤ 賃金水準向上等に向けた適正運賃収受・価格転嫁円滑化等
⑥ トラックの「標準的な運賃」制度の拡充・徹底

(2)物流の効率化

① 即効性のある設備投資の促進
② 物流GX(脱炭素化)の推進
③ 物流DX(デジタル化)の推進
④ 物流標準化の推進(パレットやコンテナの規格統一化等)
⑤ 物流拠点の機能強化や物流ネットワークの形成支援
⑥ 高速道路のトラック速度規制の引上げ
⑦ 労働生産性向上に向けた利用しやすい高速道路料金の実現
⑧ 特殊車両通行制度に関する見直し・利便性向上
⑨ ダブル連結トラックの導入促進
⑩ 貨物集配中の車両に係る駐車規制の見直し
⑪ 地域物流等における共同輸配送の促進
⑫ 軽トラック事業の適正運営や安全確保
⑬ 女性や若者等の多様な人材の活用・育成

(3)荷主・消費者の行動変容

① 荷主の経営者層の意識改革・行動変容
② 荷主・物流事業者の物流改善の評価・公表
③ 消費者の意識改革・行動変容を促す取組み
④ 再配達率「半減」を含む再配達削減
⑤ 物流に係る広報の推進

政府は今後、2024年における規制措置の導入を前提として、荷主企業・物流事業者が取り組むべき事項をガイドラインとして策定し、荷主・物流事業者等に対して業種・分野別の「自主行動計画」を年内目途に作成・公表することを要請します。ガイドラインでは、トラックドライバー1運行あたりの荷待ち、荷役作業等にかかる時間が計約3時間となっていることから、発荷主事業者及び着荷主事業者に対して、時間を把握した上で2時間以内とし、1時間以内を目標にさらなる時間の短縮に努めること等定めています。

さらに、2023年末までにトラック輸送に係る契約内容の見直しに向けた「標準運送約款」「標準的な運賃」の改正のほか、2030年度に向けて中長期計画の策定・公表を行い、再配達を半減させるための緊急施策と自主行動計画の作成・ガイドライン遵守状況の調査なども行う予定です。2024年1月の通常国会での法制化を視野に段階的に推進していくとしています。

 

 

運送事業者においてもトラックドライバーの負担軽減のため、今後ともさらなる取組みを進めて行く
必要があります。

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