共栄ニュース 9月号「運送業の事故」

2023/09/05

共栄ニュース 2023年 9月号(Vol.283):ダウンロード

関東圏にあるA社は車両20台以下の小規模事業者です。
先般、小型車両乗務員が、交差点を右折する際にバイクと接触事故を起こし、バイクの運転者が
重傷を負いました。現在においても被害者は症状の回復の目途が立たず、現在も入院の状況が続い
ています。事業者は行政処分を避けられません。
A社の社内においても改めて事故に対する安全管理体制が問題となりました。

規模の大小に拘らず、全ての運送事業者に対しては輸送の安全に対して国土交通大臣の告示によ
り義務事項が定められています。これらに対して未対応の場合は行政処分が科せられます。

すべての運送事業者の義務事項

1.従業員に対する指導監督等

 自動車運送事業者は、従業員に対し、効果的かつ適切に指導監督を行うため、輸送の安
 全に関する基本的な方針の策定及びその他国土交通大臣が告示で定める措置を講じなけ
 ればならない

  (告示の内容)
   ①輸送の安全に関する基本的な方針の策定及び周知
   ②輸送の安全に関する具体的な目標の設定及び適切な措置の実施
   ③従業員に対する教育及び研修の実施
   ④適切な情報伝達のための措置の実施

2.事業者による安全情報の公表

 自動車運送事業者は、毎事業年度経過後100日以内に輸送の安全に関する基本的な方
 針その他の輸送の安全に係る情報であって国土交通大臣が告示で定める事項について、
 インターネットの利用その他の適切な方法により公表しなければならない。

  (告示の内容)
   ①輸送の安全に関する基本的な方針
   ②輸送の安全に関する目標及び当該目標の達成状況
   ③事故の総件数及び事故類型別の事故件数
   ※一定規模以上の事業者については上記以外にも公表義務あり

安全は、運送事業者にとっては重大な社会的責任を負うものであり、事業を継続する上での永遠
のテーマでもあります。
事故対策として車両300両以上の大規模運送事業者の場合は、安全管理規程の作成・届出が義務
付けられており、規定された内容の効果的な実行を図るためのマネジメントシステムの構築、改善、
検証、改善についても具体的な取組みが求められています。

運輸安全の視点から言えば、事故の取組み対策として中小運送事業者についても、義務化され
ている従業員に対する指導・監督等及び事業者による安全情報の公表等についての実施は当然の
ことですが、これらに対する効果的な取組みのためのマネジメントシステム(PDCA)の構築、運
用も検討する必要があります。