共栄ニュース 10月号「中継輸送の普及」

2023/10/03

共栄ニュース2023年10月号(Vol.284):ダウンロード

2024年4月からトラック乗務員の残業時間の上限規制が始まることで人手不足や配達の遅れな
どさまざまなことが懸念されています。残業時間の上限は年960時間となり併せて終業から始業ま
での休息時間(勤務時間インターバル)が8時間以上から9時間以上になります。また労働時間と
休憩時間を合わせた1日の拘束時間は宿泊を伴う場合を除いて最大15時間以内にする義務が生じ
ています。
野村総合研究所によればこのままの状況が続けば2030年には全国の荷物の35%が運べなくなる
との試算がされています。
このことを踏まえ国土交通省は今年度予算の概算要求に物流問題対策費として138億円を盛り
込み「中継輸送」の普及に努めることにしました。具体的には、官民が一体となって、中堅、中小
運送事業者向けに、長距離輸送の貨物を引く継ぐ中継輸送の拠点を全国数カ所に設けることにより、
トラック乗務員の労働時間短縮と負担軽減につなげ人手不足解消を図る計画です。

【中継輸送のイメージ】

➀中継地で、乗務員のみ交替させ車両は単車によるパターン

X乗務員がA地を出発し、中継地のB地でC地から来たY乗務員がそのままC地へ運ぶ。X乗務員は
B地から日帰りでA地へ戻るパターンです。

②異なる車両で中継地で荷物を積み替える輸送パターン

①に比べ効率的な中継輸送という点で②の中継地または着地での拠点設置が有効です。コスト面から
中小運送事業者においては高速道路沿いのサービスエリア施設を利用して
の輸送方式が広がりつつありますが、発地(着地)から中継地までの相互の時間差や乗務員
の健康管理面を考えますと、休憩所を兼ねた施設の設置が有効です。また乗務員の確保面に
おいても中継地が設置されている方が有利に働き易いと言えます。
中継輸送の拠点が整備されれば、長距離輸送も複数の乗務員で分担して運ぶことで日帰り運行が可能
となります。拠点では貨物を他のトラックに積み替えたり乗務員を交替させることにより車中泊の負担
が減ります。
国土交通省が今年度先行して広島県廿日市市で設置した「コネクトパーキング宮島」の事前実験では、
「日帰り可能で車中泊の負担が減った」と好評を博したようです。

※本内容を無断で転載することを禁じます。