共栄ニュース 1月号「人手不足の対応」

2024/01/05

謹んで新春のお慶びを申しあげます。
旧年中は格別のお引立てを賜り厚く御礼申し上げます。
本年も変わらぬご愛顧のほど、お願い申し上げます。


共栄ニュース2024年01月号(Vol.287):ダウンロード


物流業界の人手不足は深刻な状況にあります。
リクルートワークス研究所によると、このままの状態が続けば2040年には1100万人の労働力不足が生じ、トラック運転者の不足率は24.2%になると予測されています。多くの運送事業者についても、労働時間の猶予期間が終了する2024年問題への対策は十分ではありません。
その中で、最近注目されているのがリファラル採用制度です。
リファラル採用とは自社の従業員による紹介を通じた採用方法のことで、元来欧米では盛んに行われていましたが、最近は大手企業を中心に国内でも注目されつつあります。同制度のメリットとしては次の点が挙げられます。

リファラル採用のメリット
募集費用、転職エージェントへの手数料支払いが抑制できる
紹介者を通じ、会社が求めるスキル、経験が分かり易い
定着率が高い(離職率が低い)
評価、面接の時間が圧縮され採用プロセスが迅速化される

首都圏で運送事業を行っているA社は以前から人手不足の解消対策としてリファラル採用を積極的に導入しています。同社では、採用者1人につき、紹介者に「礼金」として5万円を支給しています。A社の人事担当者によれば、募集費用や手間が少なく、履歴書や通常の面談では判断しにくい採用者の価値観、性格、エピソード等の情報を得ることができて大変有難いとのことです。人手不足の物流業界にとって紹介者による人材採用は有効な手法と言えます。
ただし、注意しなければならない留意点があります。
リファラル採用を導入している企業において、殆どの企業が紹介者に対して報酬を支払っています。これが職業安定法に抵触する可能性があります。
紹介による募集は直接募集に該当します。直接募集は、行政に対し許可を得たり届出を行ったりする必要はありませんが、紹介者の従業員に対して「賃金、給与、その他これに準ずるものを支払う場合を除き報酬を与えてはならない」とされています。(職安法40条)
紹介手数料を賃金として支払う分には支障はありませんが、報酬として支払えば違法となります。賃金として支払う場合は、就業規則にその旨記載することが好ましいと言えます。具体的には「従業員は会社に対して適切な人物を紹介することによって、会社の採用活動等に協力することができる」といった文言が考えられます。
また、紹介手数料を支払った場合は、その対価が報酬ではなく賃金であることを明確にする観点から、給与明細にも明示する必要があります。
上記に留意しながら、リファラル制度の普及、拡大を検討することも人手不足の対策として効果的と言えます。


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