共栄ニュース 3月号「A社の社員紹介制度」
2025/03/03
2024年度の改善基準告示の改正により乗務員不足は益々深刻になっています。
A社でも乗務員が慢性的に不足しており所有する車が常に数台稼働できない状況でした。同社の労務担当のBさんは、社外のセミナーで人手不足解消策の一環として「リファラル制度(社員紹介制)」の活用があることを知り、自社でも制度化しました。リファラル(referral)とは英語で「推薦」や「紹介」という意味でアメリカでは一般的に取り入れられている制度です。社員の紹介というと「縁故採用」が浮かびますが、縁故採用との違いは、一時的な活動ではなく全社的な取り組みとして全社員が採用活動を行うこと、また、紹介後は他の候補者と同様に選考過程を経ることです。
元々、A社でも社員紹介には力を入れており紹介により社員が入社した場合には、紹介者にいくらかの御礼を渡していました。しかし制度としては特に決まったものはなく、社員の紹介で入社してきたのは年間1~2名程度でした。社員の紹介により入社した場合の最大のメリットは定着率が良い点にあります。また、募集費用の節減にもつながります。
Bさんは、リファラル制度を社内に広く定着化させ今後の有力な採用ツールにするために、セミナーで学んだガイドラインを自社に取り入れリファラル制度の社内規程を作成し、社内に広く周知させることにしました。社員により紹介が成立した場合は社員紹介手当が支給されます。
【社員紹介手当の内容】
リファラル制度に沿って採用に至った場合、紹介者に対し、紹介された者 1人につき1回限り社員紹介手当を支給する。ただし、1年間で紹介者1人につき社員紹介手当は3人分までとする。
(1) 社員紹介手当は、紹介された者の入社日から起算して3ヶ月を経過した月の末日時点で紹介者および紹介された者の両者が在籍している場合に限り支給する。
(2) 支給は、3ヶ月を経過した日の翌月の給与支給日とする。
(3) 社員紹介手当は、以下のとおりとする
該当業務の実務経験・知識があり、かつ即戦力と見込まれる 100,000円
該当業務の実務経験・知識はあるが即戦力と見込まれない、 50,000円
また、紹介活動を行うにあたり次のような禁止事項を定めています。
【禁止事項】
採用候補者の勧誘にあたり、以下の行為は禁止する。
① 業務に影響を及ぼす行為
② SNSでの拡散等、実際の友人・知人等以外にみだりに紹介を促進する行為
③ 公序良俗に反する方法での勧誘
④ 会社へ虚偽または不正確な情報の提供をすること
⑤ 紹介者が友人・知人等に対し、秘匿性の高い会社の機密情報(顧客や取引先の情報、人事に関する情報等)を提供すること
⑥ 勧誘時に知りえた採用候補者に関する情報を漏洩する行為
⑦ その他本ガイドラインの趣旨に反すると会社が判断する行為
A社では、同制度を実施後乗務員だけでなく構内作業員の紹介が多くあったとのことです。今後も求人活動において紹介制度の積極的な活用も効果的だと思われます。
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