共栄ニュース 6月号「熱中症対策の義務化」
2025/06/02
猛暑が予想される季節を迎え、事業所内で熱中症の重篤化を防ぐために政府は労働安全衛生法を改正し、本年6月1日から施行されることになりました。熱中症による死傷者数(休業4日以上)は平成24年以降から平成29年までと比べ、平成30年以降急激に増加しています。
以上の状況を踏まえ、今回の法改正により熱中症の恐れのある事業所ごとに以下の措置が事業者に義務付けられることになりました。
1.熱中症を生ずるおそれのある作業を行う際において
①熱中症の自覚症状がある作業者
②熱中症の自覚症状がある作業者を見つけた者
がその旨を報告するための体制(連絡先や担当者)を事業場ごとにあらかじめ定め、関係作業者に対して周知すること
2.熱中症を生ずるおそれのある作業を行う際に
①作業からの離脱
②身体の冷却
③必要に応じて医師の診察、処置を受けさせる
④事業場における緊急連絡網、緊急搬送先の連絡先及び所在地等
など、熱中症の症状の悪化を防止するために必要な措置に関する内容や実施手順を事業場ごとにあらかじめ定め、関係作業者に対して周知すること
熱中症の恐れのある事業場とは具体的にはWGBT(暑さ指数)28度又は気温31度以上の作業場において行われる作業で、継続して1時間以上又は1日当たり4時間を超えて行われることが見込まれる場合をいいます。
厚生労働省では熱中症が疑われる症状例としては次の症状を挙げています。
【他覚症状】
ふらつき、生あくび、失神、大量の発汗、けいれん
【自覚症状】
めまい、筋肉痛、筋肉の硬直(こむら返り)、頭痛、不快感、吐き気、倦怠感、高体温
また、①返事がおかしい ②ボーとしている など、普段の様子がおかしい場合も熱中症のおそれがあるとして取り扱うことが適当であるとしています。
運送業は建設業、製造業に次ぎ、熱中症の発生割合が多く、全体の14%(2020~2024年計)を占めています。乗務員、構内作業員等の夏季の暑熱環境下における作業については、運行計画、作業計画の策定について配慮する必要があります。職場巡視やバディ制度、ウェアラブルデバイス等の活用など双方向での定期連絡などにより症状のある作業者の把握に努める必要があります。
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