共栄ニュース 3月号「パートタイマーの社会保険加入」

2024/03/01

共栄ニュース2024年03月(Vol.289)


 関東地方で食品中心の入出荷作業を行っているX社の悩みは人手不足です。同社の従業員の約7割はパートタイム労働者で、その大半は1週間の勤務時間が30時間以下で社会保険には加入していません。社会保険については配偶者の扶養扱いとなっており年収は130万円以下です。従って繁忙期の12月に年収調整の結果、勤務ができず出勤率が大幅に低下して業務に大きな支障をきたしています。
 今年の10月以降、従業員が50人を超える事業所については、1週間の勤務時間が20時間以上、年収が106万円以上の短時間労働者についても社会保険の加入が義務付けられることになりました。社会保険の加入をためらっているパートタイマーの方にとっては、ますます勤務時間を短縮せざるを得なくなり、その結果人手不足は一層深刻化することが予想されます。
 X社は勤務しているパートタイマーに社会保険の加入を積極的に働きかけることにしました。 社会保険料の負担は増えますが、中長期の視点で見ればその方がコスト的に割安になるとの思いからです。専門家と相談し、同社は社会保険に加入していないパートタイマーへ向けて、次のような社会保険加入のメリットを通知することにしました。

 従来、パートタイマー採用のメリットは人件費コストの低減でしたが、現在では最低賃金の大幅な上昇や同一労働同一賃金の原則もあり、必ずしも単位当たりの賃金は正規社員に比べて安いとは言えません。短時間労働者の正社員化は採用面でも有利に働くことが考えられるため、今後とも検討する必要があります。


 
 

 


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